痛風・高尿酸血症

痛風・高尿酸血症

痛風・高尿酸血症について

痛風

痛風とは尿酸という物質が血液中で高い状態(高尿酸血症)が続くことが原因で発症します。
高尿酸血症を放置すると、尿酸が関節の中で固まって結晶になるために関節炎を起こし、ある日突然、関節(特に足の親指の付け根など)が赤く腫れて痛み出します。
この痛風発作の痛みは、耐えがたいほど非常に強く、「風に吹かれただけでも痛い」という意味で「痛風」と呼ばれています。
痛風発作は、抗炎症薬を用いると、多くの場合、比較的早く治ります。しかし、高尿酸血症の治療が行われないと、同様の痛風発作が繰り返されます。
発作を繰り返していると、様々な関節(足首や膝の関節)が腫れ始め、発作の間隔も徐々に短くなってきます。そして関節の痛みに留まらず、体のあちこちに結節(コブ)ができたり、腎臓が悪くなったり、尿路結石ができたりしてきます。
また、痛風を起こす人は、そうでない人よりも心筋梗塞などの心血管障害や脳梗塞などの脳血管障害になりやすいことがわかっています。
これは、痛風の人は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が合併しやすく、動脈硬化が加速度的に進むためです。
痛風の原因である高尿酸血症は、適切な治療を受け、生活改善を心がければ、健康的な生活が送れますので、きちんと治療を受けることが大切です。

尿酸

尿酸とは、「プリン体」という物質が体内で分解されてできる燃えカスです。
プリン体は運動したり臓器を動かしたりするためのエネルギー物質で、常に体内で作られています。
また、私たちの細胞には遺伝情報を伝える役割を持つ核酸という物質がありますが、核酸の構成成分もプリン体ですので、古くなった細胞を分解する新陳代謝の過程でこの核酸からプリン体が出てきます。
尿酸というと食べ物に含まれているプリン体を気にする人が多いのですが、実は食べ物から取り込まれるプリン体からつくられる尿酸は全体の20%ほどで、残りの80%の尿酸は体内にあるプリン体を原料にしてつくられています。

プリン体を多く含む食品の例

  • レバー類
  • いくら
  • たらこ
  • えび
  • いわし
  • にしん
  • かつお
  • 干し椎茸 など

高尿酸血症

高尿酸血症とは血液中の尿酸値が上昇している状態を指します。血液検査によって尿酸値が7mg/dL以上と確認されると、「高尿酸血症」と診断されます。

痛風・高尿酸血症の治療

痛風・高尿酸血症の治療には下記に分けて考える必要があります。

①痛みを伴う痛風発作の際の治療

痛風発作の大半は突然生じます。
病院を受診するまでの間は患部をタオルや冷シップで十分に冷却して安静にして下さい。患部のマッサージは厳禁です。
当院では痛風発作時の治療には非ステロイド系消炎鎮痛剤の内服薬を使用します。
また、痛風発作の予兆(患部がムズムズするなど)を感じるようでしたら、コルヒチンという薬を使用します。
痛風発作中には尿酸値を下げる薬は症状を悪化させる可能性があるため、使用しません。
(既に尿酸値を下げる薬を飲んでいる人は、そのまま継続します。)

②高尿酸血症の治療

当院での高尿酸血症の治療には生活習慣の改善(食事療法)と内服薬を用いた治療を行っております。
エネルギー(カロリー)の摂りすぎに注意する必要があります。摂取エネルギー量を控えることで、内臓脂肪や体重が減少し、多くは体重の減少に伴って尿酸値も下がってきます。
また、尿酸はプリン体という物質から産生されますので、プリン体を多く含む食品の摂りすぎに注意が必要です。
また、水分を十分に摂ることも必要です。尿の量が増えると、尿から尿酸の排泄量が増加し、尿路結石の予防にもつながります。
アルコールは尿酸値を上げる作用があるため、飲酒量にも注意が必要です。特にビールはプリン体を多く含むので、注意してください。
こうした食事療法と併せ、運動で肥満を解消することも重要です。
生活習慣の改善にて効果が見られない場合には、尿酸の体内での生成を抑える薬や尿酸の排泄を促す薬などを用いて、尿酸値のコントロールを行います。

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